ラグビー日本代表を変えた「心の鍛え方」 - 荒木香織
アスリート/一般人とメンタル
アスリートは、理不尽なことへの耐性や繰り返しを苦にしない面はあるが、一般人と比較してメンタルが強いわけではない。だからこそ根性論・精神論ではなく、科学的に正しく、メンタルを強化する必要がある。これは一般人も同じ。
不安への対処
自分でコントロールできることとそうでないことを明確にする。自分でコントロールできないことに気をもんでも意味がない。それなら、時間とエネルギーを、じぶんで対処できることに費やす。
緊張への対処
最高のパフォーマンスには、適度な緊張が必要。緊張が襲ってきたら、「緊張したらダメだ」と緊張を押さえつけるのは逆効果。そうではなく、いいパフォーマンスが出来る兆候だととらえる。
成功体験?
過去の成功体験に頼るのは危険。過去のやり方を踏襲してうまく行かなかった場合、かえって自信やモチベーションを失う。
そのためにも過去のやり方に囚われすぎないこと。
3つの目標
結果目標
- 例:次のラグビーの大会で優勝すること
- 結果目標を立てるのは悪くはないが、「結果」は様々な外的要因が加わるので、達成できるかどうかは運が大きい
パフォーマンス目標
- 例:ベンチプレスの記録を5キロアップ、キックの成功率を85%以上にする、など
- 望ましい結果を達成するための、自分自信のパフォーマンスに対する目標
プロセス目標
- 例:キックの成功率を5%上げるためにプレ・パフォーマンス・ルーティンを完成させる、など
- パフォーマンス目標を達成するために日々行うこと
困ったときのメンタルヘルス
- 深呼吸: 単に深呼吸するのではなく、「落ち着くために深呼吸するのだ」と意識して行うこと
- 注意や集中を自分の内から外へ変える
- 思考停止させる癖: 「指を触る」など。いきなりはもちろん無理だが、トレーニングすれば誰でもできるようになる
- 不安を書き出す: 1つ1つ不安を書き出し、原因を抽出、対処法を考える
「脳が元気になる本」
「脳を粗末に扱わない」
- 働きすぎ→疲れる→セロトニンが減る→眠れない・イライラ→またセロトニンが減る
- 心の変化→脳の変化→心の変化
- 社会や他人を変えることはできない
- 変えられるのは自分の考え方。自分が社会や他人をどう受け止めるか。
*「窮すれば変ず、変ずれば通ず」
「数息観」
- 自分の息を数えること。途中で嫌なことを思い出しても、息を数え続ける
- 徐々に他のことを考える時間が少なくなれば良い
- 妄想が少なくなる 本来考えるべきことを考えられるようになる
「念を継がない」
- 妄想を続けないこと
- 何かの拍子で不愉快なことを思い出すのは仕方ない。
- でもその後で念を継がないようにする。思い出したところでストップ
- 何度も繰り返してしまう時は、「何度繰り返せば気が済むんだ」と心のなかで言う
煩悩が邪魔をする
- 欲しい、憎い、嫌いという煩悩によって、本来の心の力が阻害される
眠れない時
- 横になる→目を瞑る→いろいろな思い出が出てくるのを待つ→思い出が出てきたら「自分は眠りに入ったのだ」と思う→すると寝ている
- 熟睡できないことを恐れない。目をつむっているだけでも眠りの第一段階に入っている
「反応しない練習」
ブッダの教え=「心の無駄な反応を止める」
- 心の反応をみる
- 合理的に考える
心の反応をみる
- 言葉で確認する=ラベリング
- 感覚を意識する
- 上記2つがいわゆる「マインドフルネス」
- 分類する
- 貪欲、怒り、妄想
妄想をリセットする方法は、「今、妄想している」と言葉で確認すること
適当な反応、妄想を減らすには、体がキャッチする感覚に意識を向けること
- 呼吸、匂い、歩き、手足の感覚・温かさ
判断しないこと
- ネガティブな判断が心に湧いてきたらそこで「ゲームオーバー」
- その先には自己否定以外何もない
- 考えても答えは絶対見つからない
- 否定する判断を止める言葉: 「わたしはわたしを肯定する」
仕事での不安は妄想に過ぎない
- 「とりあえず、ただやってみよう」
心の前側で相手を理解する。後ろ側では、自分の「反応」を見る
- 怒りを感じているか、過去を振り返っていないか、緊張、相手の疑い・妄想が湧いていないか
- 心が動くのは当たり前。動き続ける心を見張って、よく気付いて、それ以上の反応を止めること
「どう評価されているか」「嫌われたのではないか」「信用を失ったのではないか」、こうした不安はどれも自分への価値へのこだわりが生み出す妄想
- これらのように「確かめようがないこと」は、追いかけない
「みんな、よく頑張っているな」
増上寺
増上寺。東京タワーをバックに。